千葉たかおかについて
千葉市で10年以上「鮨たかおか」としてやられていた人気鮨店が、東京ミッドタウンオープンに伴い、店名を「千葉たかおか」に変え出店。
伝統的な江戸前鮨ながら、その店名が示す通り、ネタはほぼ千葉県産オンリーというのが特徴。さらには、ネタだけでなく、米も千葉の自らが契約した水田で栽培したものだったり、米に使用する水も千葉の湧き水だったりと、徹底したこだわりっぷりです。
食べログではブロンズや寿司百名店の常連。
ランチはやらず、夜のみ2回転(①17:00~、②20:00~)という構成。今回、20時の部でお伺いしました。
総評・レビュー
千葉のテロワールを重んじる名店
今年行ったお店の中だと、宇都宮のオトワさんが圧倒的No1でしたが、そこに匹敵する超絶美味しいお店。もう他のお寿司屋さんは行かなくていいと思えるくらい。
オトワは栃木県産、千葉たかおかは千葉県産というように、テロワール(=その地域の風土や生産者)を大切にするという哲学が共通しております。やはり、その地域を知り尽くしているからそ、素材の良さを最大限に引き出すということに長けているのでしょう。
ゆえに、おつまみから握りすべてにおいて駄作無し。Storokesの名盤「Is This It」みたい。
鴨川の縞鯵や勝浦の金目鯛に代表される上品な旨味、冨津の新烏賊の柔らかさな食感、銚子の鰹のスモーキーな香りなどなど、印象的なものを挙げたらきりがないです。
そして、料理の美味しさ以外にも、ボリュームも相当なもので、お客さんの半分は最後の数巻をギブアップするくらいのレベルでした。私も完食するのがいっぱいで、2軒目は行かずでした。
さらに、大将筆頭に、スタッフ陣の接客は丁寧で超絶低姿勢。きっと死ぬまで百条委員会とは無縁。
大将について
大将の高岡千春氏は、千葉県出身。銀座の寿司屋で8年修業を積み、2012年に独立オープン。2023年に、ミッドタウン八重洲出店に伴い、移転され、現在に至るという感じです。なお、高岡氏のインタビュー記事を見る限り、将来的には、千葉へ戻るそうです(悲)。
手足はスラっと長くてスタイルが良く、上述で述べたような低姿勢で気配り上手な接客。世の中は不公平だと改めて実感しました。
お店の雰囲気・外観
お店は東京駅八重洲口の真ん前にある、東京ミッドタウン八重洲の3Fのエレベーターそばにあります。八重洲南口から数分程度です。
入口に暖簾が無かったので、最初はお店探しに苦労しました。
店内はカウンターのみ6席という構成でこじんまりしています。2023年3月オープンとだけあって、すべてがキレイで余計な装飾等は特に無く。
当然の満席で、お客さんの層は、男女比半々で、年配の方が多く、地方から来ている方も。
スタッフは、大将の高岡氏と弟子×2名の少数精鋭スタイル。みなホスピタリティにあふれた方々であり、一人でも快適に過ごせます。
5段階評価
- 料理・味:★★★★★
- サービス:★★★★★
- 雰囲気・居心地:★★★★★
- コスパ:★★★★
- お酒・ドリンク:★★★★
料金・価格
コースはおまかせコース1本のみで、価格は35,000円(サービス料は特に無し)。大阪北新地にある鮨桐紋の「極OMAKASEコース」の10分の1になります。銀座界隈を考慮すると、高くもなく低くもなくという感じでしょうか。
ドリンクは、日本酒一合あたり1,000円~3,600円、ビール・焼酎類はほぼ1,000円以下となっており、良心的。なお、ペアリングはメニューには記載無いですが、オーダーすれば大将が日本酒中心にセレクトしてくれる模様。
ドリンクは、焼酎×1、果実酒×2を頼み、コースとお酒とで合計4万いかないくらい。味とボリューム等考慮すると、コスパはかなり高め。
料理・コース
・ガリ
荒く削ったガリ。かなり酸味が強めで、少量でリセットしてくれます。
・わかめと蓮根
わかめは程良い固さで好みな食感。蓮根は薄くスライス。ポン酢にて。
・煮蛸
なかなかの筋肉質な食感と上品な味付け。煮蛸界の頂点。
・鰹
銚子の鰹。透き通るような身の美しさ、スモーキーな香り、上質な旨味。
・青柳
初めて食べました。味は希薄ですが、貝なのにサクサクとした食感はユニークですね。
・焼甘鯛
さつまいもはライトな甘さで程良い粘り気。焼甘鯛は出汁を骨でとり、それに4時間ほど漬けたのだそう。手の込んだ一品ゆえに、旨味も神級。
・あん肝
かなり甘めなあん肝(銚子)。大将から「わさび強めがちょうど良いかもです」と言われ、その通りにしたら、いいあんばいに。
・鯵
これほど美味しい鯵のたたきに出会ったことはありません。大将曰く「冨津で仕入れたネギが良くて」と言っておりましたが、確かに、玉ねぎと長ネギの中間のような味で、香りも際立っております。
・蛤の茶碗蒸し
量はお椀の半分ほどですが、満足度は十二分。蛤の旨味が凝縮しております。
・〆鰯炙り
大葉とともに。お酒がぐいぐい進む濃厚な味。
・金目鯛
ここから握りスタート。まずは軽く漬けた金目鯛。味もさることながら、中央から先端にかけての艶やかな色調に見とれてしまいます。
・小肌
・縞鯵
コース全般通してですが、鯵がべらぼうに美味しいです。そこら辺の寿司屋の鯵はもう食べることができません。
・赤身漬
深紅で輝いてます。食べる前から美味しいと分かるやつ。
・中トロ
しつこくない脂の旨味と甘みは、王室レベル。
・大トロ
言わずもがな美味しい。辞書で美味しいと引いた時に、この写真が掲載されるべきでしょう。そして、もうコースは終盤なのねと感慨に浸ります。
・新烏賊
シャリを大きく包み込んだ新烏賊。程良い甘みで噛み切りやすい食感ですね。
・蛤
大きな身で、噛むほどに旨味がじゃぶじゃぶ溢れてきます。
・鯵
ここら辺から大将がカウンターと厨房を行き来するようになり、テンポは遅めに。お弟子さんディレクションなのかトラブルなのか分かりかねますが。
・車海老
この豊満な身は罪でしょう。食感の王様。
・雲丹
濃厚ですが、しつこくなく。
・穴子
写真は撮り忘れました。もうお腹いっぱいですが、このくどくない甘さだったらまだ食べられます。
・味噌汁
・玉子
こちらも写真は撮り忘れ。
8月はハズレなお店が多く、悲しい思いをし続けてきましたが、最後の最後で大名盤に救われました。ごちそうさまでした。
店舗情報
- 住所:東京都中央区八重洲2-2-1 東京ミッドタウン八重洲 3F
- 最寄り駅:東京駅八重洲口より約3分
- 予約:TableCheckほか
- 営業時間:17:00 - 23:00
- 定休日:月曜日、木曜日