【CIRPAS（白金台）】料理・素材への強い探求心 - まのぴらーのひとり飯グルメログ

CIRPAS（サーパス）について
総評・レビュー
料金・価格
料理・コース
店舗情報

CIRPAS（サーパス）について

新たな流れ（circulation）を、大いなる熱量（passion）をもって生み出すというコンセプトのフレンチ。

高級食材を活かし、古典を独自に解釈した料理が評判とのこと。ミシュランガイド2025のセレクテッドに選ばれております。シェフを務めるのは、YouTuberの「George　ジョージ（チャンネル登録者数：115万）」としても有名な吉田能氏。平日のディナーは2回転で、たまたま2回転目のディナーが1席分空いていたので、ディナーで伺ってみました。

※吉田氏は産地訪問や撮影などにより不在でした。TableCheck見る限り、土曜日は結構いらっしゃるみたいです。

総評・レビュー

料理・素材への強い探求心

デンマークの伝統料理を再構築→季節的に場違いな夏を感じさせる料理→出自の再解釈→旬の食材という、前半から中盤の流れでもあるように、コース全体のストーリーは？

「料理・素材への強い探求心」ゆえ、各品々へ異なる主張・アプローチをしたゆえなのかもなぁと。Beatlesで例えるなら「ホワイト・アルバム」。全曲、バラバラな知性・スキル・ユーモアがある曲ゆえ、ストーリー性は皆無という感じ。

とはいえ、一品一品の美味しさは凄まじいの一言（後述）に尽きます。きっと、年齢や経験を重ねるにつれて、より洗練されていくんだろうなとポテンシャルを感じさせます。

シェフについて

冒頭でもさらっと説明しましたが、シェフは吉田能氏。コロナ期間にYoutuber「George ジョージ」として料理動画を配信し、一躍有名に。

www.youtube.com

私も何度か観させて頂きましたが、ある意味閉塞的なフレンチの技法や素材の適切な調理方法など、勉強になることがいっぱいでした。

Youtuber以前の経歴は下記の通りです。

東京都内のホテルレストランでキャリアをスタートした後、渡仏。パリ「ドミニク・ブシェ」で修業し、帰国後は「ピエール・ガニェール」に勤務。以降「ドミニク・ブシェトーキョー」に入り、グループのエグゼクティブシェフとして活躍

引用元：https://cirpas.tokyo/

本日、吉田氏は不在で、シェフを務めていたのは糸川氏。経歴は以下の通りです。

熊本県出身。熊本市内のホテルでキャリアをスタート。福岡の「ジョルジュマルソー」でフランス料理に魅せられ、渡仏を決意。パリの「イストワール」、「エクサゴヌ」で経験を積み、帰国後ドミニク・ブシェトーキョーで吉田と出会う。CIRPASの立ち上げに参画し、2024年6月にCIRPASのシェフに就任。

私は、見た目的にあまり話しかけられることはないですが、そんな私に対しても、気さくに話しかけていただき、親切なお方。

お店の雰囲気・外観

場所は白金台駅の2番出口を出て左側を歩き、曲がり角を左にわたってすぐのところ。駅から出言うと数分ほどです。周りは、閑静な住宅街。

店内は、厨房を囲む美しい大理石のテーブルが印象的なカウンター。席数でいうと8席。他にも個室（席数：4）があります。

カウンターは満席で、お客さんの層は、おひとり様はじめビジネス利用系（海外）のグループ、男女ペアなど。年配の方中心です。

スタッフは、糸川シェフはじめ4～5人くらいで厨房とホールを回しております。みなさんお若く、プレゼンも手慣れた感じ。そして、積極的にお客さんと会話し、店内は終始にぎやか。こういう雰囲気だと、おひとり様でも安心ですね。

また、コースが一斉スタート形式なのですが、いかんせん情報量が多い品々で理解するためにゆっくり味わっていた自分に対しても、それなりにペース配分していただき、その心遣いに感謝です。

5段階評価

料理・味：★★★★★
サービス：★★★★★
雰囲気・居心地：★★★★★
コスパ：★★★
お酒・ドリンク：★★★★
お一人様率：★★

料金・価格

ディナーのコースは以下の3種類。

おまかせコース（全10品）：19,800円
おまかせコース≪ビーフウェリントン≫（全10品）：24,200円
おまかせコース≪和牛≫（全10品）：24,200円

メインによって、値段が異なるようです。場所がらを考えると、高くもなく低くもなくという感じでしょうか。今回は19,800円のコースにしました。

ドリンクはペアリングが主みたいな感じです。3杯：8,800円、5杯：11,000円、7杯：22,000円という価格。それ以外で言うと、グラス1杯あたり：2,750円～となっております。Googleで「ペアリングが高い」というレビューがありましたが、その通りでしたね。1杯当たりに換算すると、5杯：11,000円が安いのですが、全10品に対して5品は少なすぎるべと思い、今回は7杯にしました。ということで、コースとペアリング、お水とか合わせて計45,000円ほど。まぁ美味しかったから許容です。

料理・コース

・エーブレスキーバ

初めて聞く料理名。どうやらデンマークの伝統料理で、リンゴの薄切りを意味するそうです。見た目はたこ焼きで、使用している材料はパンケーキとほぼ一緒（厨房でたこ焼きプレートらしき機械で作ってたのはこれなのね）。この伝統料理を独自にアレンジし、生地には滋賀県の伊吹在来そばや雲丹、山羊のチーズを練り込み、それにヨーグルトや塩麹、自家製のクリームチーズなどを合わせています。雲丹の風味と旨味が効きながらも、ヨーグルトの酸味もほんのり。なかなかの複雑怪奇な味わい。ただ、一口サイズにしては高さが4～5センチくらいあるので、大きすぎましたw。コースの1品目はお店を表すと言いますが、「料理・素材への強い探求心」が伺えます。

・すり流し

きゅうり、ミント、サワークリームを軸にしたすり流し。食感にアクセントをつけるために、フィンガーライムやじゅんさいもジョイン。中央には熊本県の天草のうなぎを揚げたもの。うなぎは泥臭さは無く味の主張は控えめで、きゅうりとミントの清涼感が口の中に心地よく広がります。主役はやはりすり流し。季節感に欠ける一品ながら、文句なしに美味しい。ペアリングは志荘（こころざしそう）という日本酒で、クリアで上品な味わい。料理+お酒ともに意図が明確ですね。

・毛蟹

「ドミニク・ブシェよろしく」と言わんばかりの毛蟹とキャビアを使った当店のスペシャリテ。インカの目覚めを熟成させて甘みを際立たせパンナコッタ状にしたものの上に、蟹の殻を使ったコンソメジュレ、んで毛蟹の身とオシェトラキャビア。毛蟹の身はパプリカの風味やチリっぽさがあり、エスニックな味わい。なめらかな口当たりと甘さが印象的なパンナコッタといい、多層な味わいです。デザインに関しては、ぱっと見シンメトリックに見えますが、中央のキャビアの不均等な隆起が引っかかります。きっとサービス精神の表れでしょう。

・ポワロー

最下部にポワロー、中央には藁で燻した戻り鰹、上にはインゲンとジャガイモを使ったサラダ。ファブリーズを全否定させてくれるようなスモーキーな香り、鰹の鉄分の旨味がヤバすぎます。どんな肉料理よりも肉料理っぽい魚料理です。でも、スタッフ曰く、主役はペアリングのワイン「98WINEs（赤）」なんですって。なんですか、この転がされている感じw。

・ビスク