総評・レビュー
This must be the place(きっとここが帰る場所)
ミシュラン2024では一つ星に選ばれており、お店が位置するあづま通りの石畳(パヴェ)をイメージした「パヴェドフォワグラ」がスペシャリテをぜひとも食してみたいと思ってディナーで予約。
で、行ってみた感想になりますが、「パヴェドフォワグラ」は無かったものの、店名のラフィナージュ=熟成が意味する通り、お料理もワインもシェフのお心遣いも熟成されておりました。今んところ、今年行ったお店の中でリピートしたい店No1。
まず特筆すべきは、シェフの人柄でしょう。UI/UX的に見て話しかけづらい私に対しても気さくに話しかけて頂き、天気の話、料理や素材の話、ワインの話、その他たわいもない会話で終始楽しませていただきました。しかも、すべてのお客さんに対してもおんなじ感じで分け隔てなく。さらに、調理やサーブ、お見送りとかしながらですよ、こりゃすごい。いつも余計な一言で周りをイラつかせ、ディナー前のMTGでも炎上さしてきた私にとっては、まったく別のベクトルに位置する神のような存在。高良シェフになりたい。
(…ちなみに私と同じベクトルにそうで勝手にシンパシーを感じているのは、代官山のARMONICOの佐々木シェフ。そろそろリピートしなきゃ)
料理自体に関しては、すべて文句なしに美味しい。詳細は後述に記載しておりますが、ソースの構成を考えると、酒飲みが好きそうな味付けに仕上がっており、おそらくシェフ自体もかなりのお酒好きなのでは?と思わせるところも。個性が如実に出るフレンチってすごく素敵な料理だなと改めて感心させられました。
2軒目に行った代々木上原のバーでも、サプライズでお誕生日の祝いやらお酒をごちそうしていただき、最高の1日。
帰り際、ずっと気分も良く、ひたすらTalkingHeadsの「This must be the place(=きっとここが帰る場所)」をリピート。
愛の対象を、(人を通して)HOMEにする仕立てって、この上ないラブソングですよね?
シェフについて
日本国内のフレンチの重鎮である高良康之シェフ。元々は、国内のホテルメトロポリタン勤務の後に渡仏。帰国後は、フレンチの名店の料理長等→銀座レカン総料理長を経て2018年にラフィナージュをオープン、現在に至るという感じです。
その経歴からは、だいぶ緊張するお人柄なんだろうなと思いきや、人とてもフレンドリーで気さく。素材の選定基準やワインを選ぶ際のソムリエとのやり取りとかで話が盛り上がりました。私が一人客だから気を遣っているというわけではなく、すべてのお客さんとも同じように会話をし、いたるところで笑顔が飛び交っておりました。
お店の雰囲気・外観
お店の場所は、銀座駅から徒歩圏内、GINZA SIXのすぐ近くです。
内観は白を基調としており、インテリア等はほぼ無く、ポール・ボキューズ時代の修行写真やドライフラワーなどが飾られております。席数はカウンター6席、テーブル3~4席のこじんまりとした感じ。
お客さんは8割ほど埋まっており、家族やら夫婦やらグループやら多種多様。年齢層も老若男女といった感じで、幅広い層から支持を受けているみたいですね。
スタッフはホール1人、厨房には高良シェフ1人の計2人。ソムリエが1人いるとのことですが、本日はお休み。そのせいかもしれませんが、シェフ自らサーブや料理の説明などの給仕等をこなしておりました。
5段階評価
- 料理・味:★★★★★
- サービス:★★★★★
- 雰囲気・居心地:★★★★★
- コスパ:★★★★
- お酒・ドリンク:★★★★★
料金・価格
ディナーはおまかせコースのみ:22,000円。「アペリティフアミューズ/アミューズ/前菜3品/魚料理/肉料理/アヴァンデセール/グランデセール/プティフール/カフェ」という構成。品数の多さとエリアを考慮すると、けっこう安い部類かと。
ドリンクに関しても良心的な価格で、ペアリングは9,000円。今回はシャンパングラス:2,400円+ペアリングを頼みまして、料理+ドリンク+サービス料もろもろで36,000円。
料理・コース
・菜の花のアイスクリーム
菜の花をアイスクリーム化させることで、菜の花の甘みと苦味を舌の上でクリアに堪能できる熟練の1品。一発で恋に落ちました。
・菊芋のポタージュ
旬の菊芋をポタージュにて。味はほのかに甘く優しく寄り添うような感じ。
・パン
パンは2種類。どちらも小麦の香りが程良く、何もつけなくても美味しい。ただ、バカみたいに分かりやすい味が大好きな自分は、目の前にバターがこんもりだったので、めちゃんこ付けて食べました。もちろんお代わりできます。
・ズワイ蟹とクスクス、キャビアのサラダ仕立て
ソースはマヨネーズを基調としたもの。小さい頃、カニカマをマヨネーズべったりで食べることが好きだった自分にとってはドンピシャな1品。高級食材をみんなの味に取り戻してくれる、そんな心意気が好きです。
・ホワイトアスパラガスとホタルイカとコンフィのコンポジション
ホワイトアスパラガスは瑞々しく、ホタルイカの弾力のある食感と旨味がたまらないです。ソースはマスタードを基調としたもの。前の品同様、お酒好きにはたまらない仕立てで、ワインが進む進む。
・リ・ド・ヴォーのムーニエール 網笠茸のソース
リ・ド・ヴォー(胸腺肉)はコクと優しい甘さが特徴的で、口に入れた瞬間とろけます。リ・ド・ヴォーとソースでコーティングされた舌を整えるために、筍とそら豆を付け合わせにする工夫もさすがです。
・アズキハタのプレゼ 塩レモンとボルトのソース
アズキハタはもっちりとした食感とわずかな甘み。ソースはボルト酒(甘いお酒)と塩レモン。こちらもワインが進みます。この時点で、相当酔っぱらってます。
・岩手県花巻より、ホロホロ鶏のバロティーヌ
バロティーヌにすることで、よりホロホロ鶏の旨味を感じることができる一品。付け合わせは芽キャベツとポテト(インカのめざめ?)。
・イチゴミルクとココナッツのムース
イチゴの部分はスライスされたイチゴがゴロゴロと。酔いを醒ましてくれるような感じ(でも無理)。
・グレープフルーツのプリン仕立てとハチミツのアイス
シェフがグレープフルーツをプディング化させることの難しさを教えて頂きましたが、記事を書いている時点で、内容がすっぽり抜けております、すいません。
・エスプレッソ+お茶菓子
・ペアリングで頂いたワインたち
どれか忘れましたが、スモーキーでハーブっぽい香りが印象的なワインがお気に入り。
ごちそうさまでした。楽しかったです。
店舗情報
- 住所:東京都中央区銀座5-9-16 GINZA-A-5 2F
- 最寄り駅:銀座駅より徒歩5分
- 予約:食べログほか
- 営業時間:12:00 - 15:30(L.O. 13:30)、18:00 - 22:00(L.O. 20:00)
- 定休日:月曜日