総評・レビュー
銀河系軍団:レアルマドリーを彷彿
2023年9月にオープンしたイタリアン。シェフはリナシメント等でシェフを勤めた小川氏。支配人は、アイコニック(ひらまつ)、カゲロウプリュス、リース等で支配人を勤めた方。ある意味で、2000年代前半のレアルマドリーの銀河系軍団が田舎に凱旋したような感じ。
その銀河系軍団が作り出す一品一品は、完成度は高いし、なにより悶絶級に美味しい。選定するワインも言わずもがな。価格はイタリアンの中ではちょっと割高な程度ですが、この内容だったら大満足。
すぐ隣にあるroku(ロクさん。フレンチ)は、味は一級、割安な価格設定、温かみのある接客・サービスで、常時ほぼ満席という状況を鑑みると、ここ数年で参宮橋駅にオープンした店はどれもこれもすごいですね。
merachiさんがイタリアンの中だと今年トップかなと思っていましたが、越えました。
シェフについて
シェフの小川氏はイタリアの名店等で7年間修業した後、帰国。その後、目黒の食べログ百目店にも選ばれたイタリアン「リナシメント」でシェフを勤めた後、オルケストラのシェフに。
支配人の矢島氏は、モナリザ、カノビアーノ東京、アイコニック(ひらまつ)、カゲロウプリュス、リース等で支配人、ソムリエを歴任した方。
スーシェフの菅野氏はSacccapau(サッカパウ)でスーシェフを勤めた方。
みなさん、名だたる名店の経歴を持ったスペシャリスト集団という感じでしょうか。
お店の雰囲気・外観
参宮橋駅からは徒歩2分ほど。2023年9月にオープンしただけあって、キレイな外観・内観です。無駄なインテリア等はなく、とんねるずの木梨憲武のアートとかが適度に飾っております。予約時間際には支配人が店頭に立って案内してます。
店内はカウンター8席ほどのこじんまりとした感じ。窯で何かしら炙ったようなスモーキーな香りが充満しています。BGMは終始オーケストラ。
お客さんは一言で言うとOMAKASEチック。パパ活カップル的な方々、美食家っぽいグループ客など。美食家っぽいグループには、支配人やシェフが入れ替わり挨拶に来ております。きっと有名な方々なのでしょう。終始、大きな声で「やっぱり〇〇地方(イタリア)の料理は△△でなきゃね」や「このワイン、×××でしか見たことないわ」と賑やかw。我が家みたい。
ちなみに、ドレスコードの厳しい制限は無さげな印象。
5段階評価
- 料理・味:★★★★★
- サービス:★★★★★
- 雰囲気・居心地:★★★★★
- コスパ:★★★★
- お酒・ドリンク:★★★★★
料金・価格
コースは一番安いもので、Orchestraおまかせコース(全10品):16,500円。そこから、一部の品をUpgrade(①パスタの一部をオシェトラキャビアスパゲッティにする、②メイン料理を厳選 銘柄黒毛和牛フィレにする、③①+②にする)するという、コース分岐があります。③の一番高いもので、23,100円。イタリアンのコースとしては少しばかり割高という感じでしょうか。
ドリンクに関しては、ティーペアリング:6,600円、ワインペアリング:9,900円~、スペシャルワインペアリングA:19,800円~、スペシャルワインペアリングB:29,700円となっており、スペシャルワインペアリングを除くと、比較的安めな印象です。
今回は16,500円のコースにしましたが、4月1日(月)~5月31日(金)の期間限定「小川シェフ原点回帰のプログラム」コースとなっております。 ワインは通常のペアリングにしました。トータルで約29,000円位。
料理・コース
・小川シェフから今夜のゲストへ「味探し」
壮大な品名に負けずと劣らずの一品。焼きあご、昆布、長ネギ葱、生ハム、チーズ等を織り交ぜた日本食顔負けの素材を上質に味わうことができるスープ。中央にはラビオリ。ペアリングはシャンパンでしたが日本酒が恋しくなります。まるで、XTCの「English Settlement」を聴き始めた感じを彷彿させます。すなわち、感嘆ものの大傑作。
・今宵のオルケストラを皆様へ~お楽しみ5種
店名よろしく鍵盤さながらの様相。馬肉と牡蠣のコンフィのタルタル、ミニバーガー、パルメザンチーズのタルトレット、蝦夷鮑のフリット等。すべての品がそれぞれ全く異なる主張をしております、前菜界ではプレヴナンスを超えちゃった。シャンパンをグビットに飲み干しちゃいましたが、すかさず支配人が注いでくれます(ありがたきとおもいきや、会計時にはしっかり金額に含まれておりました、手練です)
・京都 辻きんさんからしらこたけのこ
下層には菜の花がふんだんに。中断には筍、上段にはオマール海老。この筍は生涯食べた中で、最もえぐみが無く、かつ瑞々しく、甘い。菜の花の苦みとのコントラストでより筍の甘みが際立ちます。感動的で思わず涙ぐんじゃいました。
・伝統のパスタ ガルガネッリ
コースのコンセプトである小川シェフの原点回帰に即したロマーニャ州を代表する伝統的なショートパスタ:ガルガネッリ。ソースはイタリア産グリーンピース。サルシッチャとセミドライトマト。グリーンピースの緑々した風味がすさまじく、これ単体でもお代わりしたい位の一品。
・モデナのティジェレッレ オルケストラ風
イタリアはモデナのストリートフードである伝統的なパン。角煮まん的な感じ。どこら辺がオルケストラ風かは聞き漏らしました。
・ラヴィオーロ サン ドメニコへの感謝
当店のスペシャリテ。半熟卵とトリュフとリコッタチーズ。これをキライという人はきっといないでしょう。9歳くらいに生まれて初めてカルボナーラを食べた時の衝撃を思い出しました。
・高加水ライ麦パン
生クリームのようなホイップが美味しい。お代わりしました。
・藤本さん 鰆 アーテチョーク ミント
鰆の溢れ出る脂とふくよかな食感がクセになります。ミントや香草等と鰆の組み合わせは鉄板ですね。個人的にはシンティッラの鰆が頂点ですが、負けず劣らず。
・冷たく小さな一品
冷製トマトを軸としたソース。上にはニジマスの卵。これは少しばかりフツー。
・千葉 KASYU 仔豚 エミリア ロマーニュ仕立て
メインは仔豚。付け合わせは菊芋のフリット。ソースは聞き忘れました。仔豚の皮がカリカリ、肉は弾力のある食感。コースのところどころでパスタかあったためか、お腹ははち切れそうなくらいパンパン。死ぬ気で完食。
・パイナップル ズッキーニ バジル
・カッサータ カカオ キャラメル カシス
カッサータ(シチリアの伝統スイーツ)は、コク+まろやかのバランスが絶妙です。カシスでさっぱりとした味わいも楽しめます。
・お茶菓子+コーヒー
支配人のドラマティックな演出も相まって、幸せでした。帰り際には、フィナンシェ(?)てきなお土産もいただきました。感謝。
インフルエンサー的な方とタイアップ数回すりゃ、すぐに予約埋まっちゃいそう。そんな予感がするお店。
ごちそうさまでした。
店舗情報
- 住所:東京都渋谷区代々木4-1-7 森田ビル 1F
- 最寄り駅:小田急小田原線 参宮橋駅より徒歩1分、JR山手線 代々木駅より徒歩10分
- 予約:TableCheckほか
- 営業時間:17:30 - 23:30(L.O.料理22:00、ドリンク23:00)
- 定休日:月曜日、日曜日