オトワレストランについて
日本を代表する栃木県のフレンチ「オトワ」さん。5C(※)の厳格な審査をクリアしたホテルとレストランのみに加盟を認められるルレ・エ・シャトー加盟の認証店です。要はレストランが備えるべき要素をトップクラスの基準で満たしているお店という意味になります。食べログではブロンズを受賞。今回、GWを利用してディナーで予約して行ってみました。
※5C
- Courtesy(心のこもったおもてなし)
- Character(特色や個性のあるスタイル)
- Cuisine(質の高い料理)
- Charm(洗練された魅力あるスペース)
- Calm(落ち着きやリラックスできる場所)
総評・レビュー
音羽和紀氏がネテロ会長のように見えてきた
7~8年位前にシアトルのSMXというマーケティングカンファレンスに行った際、Netflixのマーケティング担当者が「あなたたちの競合は?」という質問に対して、真顔で「睡眠」と発言したことをふと思い出しました。「この人らは見ている世界が違いすぎる」という衝撃です。オトワさんに関してもおんなじ。これまで「美味しい」と思っていたフレンチがすべてUpdateされました。味はもちろん、サービスも居心地の良さも随一。オトワさんで食事をしたという経験はきっと生涯の宝物になるでしょう、ありがとうございました。
こんな体験をすると、店を廻ってお客さんに笑顔で挨拶をされている音羽和紀氏が神々しく見えてきました。ハンター協会会長のネテロ会長の百式観音のように、きっとすごい念能力を持っているに違いない。
ちなみに、サービスを担当されていた音羽和紀氏の次男、音羽創氏との会話(詳細は控えます)でも、まだまだお店として成し遂げたい壮大なビジョンがありそう+それに向けて研鑽しているとのことで、ビヨンド=ネテロの風格たっぷりでした。
シェフについて
「料理界のダ・ヴィンチ」と呼ばれたアラン・シャペルで修業した音羽和紀が初代シェフ。大学卒業後に、ジャック・ラコンブの「リヨンドール」やリヨンにある「アラン・シャペル」等で修業を経て帰国。その後、中村屋→オーベルジュを開店→オトワレストランを開店→現在に至るという感じです。(引用元:
https://r-tsushin.com/people/chef_archive/67/
)フランス共和国農事功労賞「シュヴァリエ叙勲」受賞や栃木県文化功労者受章、ゴ・エ・ミヨ「トランスミッション賞」、料理マスターズ受賞など、数々の受賞をされているすんごい方です。
そして、現シェフを務めるのは長男の音羽元氏。音羽元氏も父親と同様、渡仏後にフィリップ・ジュスの下で修業し、帰国後にオトワレストランの取締役料理長を務めております。
サービスには、前述の次男の音羽創氏。フランス料理店「シエル エ ソル」の料理長を務め、ミシュランガイド東京2017で1つ星を獲得しています。
…音羽家、おそるべしですね。
お店の雰囲気・外観
宇都宮駅西口からタクシーで行きました、片道15分で料金は1,800円。運転手さんに「オトワさん」と言うだけで伝わりました。それだけ有名なんですね。
お店の外観はコンクリートの要塞のよう。内観は入口からウェインティングルーム、ワインセラーなど、至る所まで気品にあふれております、ザ・グランメゾンです。
スタッフ陣は厨房やホール含めて何十人いるんだ?と思う位多数いらっしゃいます。若い方が多い印象。とはいえ、若人といって侮るなかれ。細かな気配りから料理・ワインの説明、サーブのタイミング、身だしなみ、帰りのタクシーの迅速な手配まで、一級品です。
お客さんは夫婦、家族、カップルなど多様。ドレスコードはスマートカジュアル推奨と公式サイトに記載されており、みなそんな感じの服装でしたが、フォーマルな方も中にもいらっしゃいました。
5段階評価
- 料理・味:★★★★★
- サービス:★★★★★
- 雰囲気・居心地:★★★★★
- コスパ:★★★★★
- お酒・ドリンク:★★★★★
料金・価格
コースは以下の3種類。
- イマージュ・ドゥ・オトワ:14,520円
- メニュー ルレ・エ・シャトー:19,360円
- メニュー ルレ・エ・シャトー(メイン:特選和牛フィレ): 21,780円
基本的には「アミューズ、お料理5品、デザート、小菓子」で、コースの値段が上がるにつれて食材のグレードが上がるという構成なんでしょうかね。全体的に、都内のフレンチの価格帯より安めです。ワインペアリングは、聞き漏らしましたが、数量や好み等いろいろコントロール可です。
今回、「メニュー ルレ・エ・シャトー:19,360円(+蝦夷アワビと帆立のムースをお代わり)+ワインペアリング6~7杯」にしましたので、トータルで33,000円ほど。都内よりかなり良心的です。
料理・コース
・アミューズ(フォアグラのボンボンゼリー、玉響のお茶タルト、やしお鱒ムース+いくらタルト)
まさかのボンボンゼリー。守備範囲の広さが桁違いです。甘みと酸味が絶妙。お茶のタルトは口の中に入れた瞬間、お茶の香りがぱっと広がります、ほのかなレモンも。いくらのタルトも心地よい塩味。
・桜エビのフランブロッコリーソース
緑色のブロッコリーの下には温かい桜海老のプリン。エビをダイレクトに使わず、ペアリングは日本酒の而今。三重県名張市の木屋正酒造が造る名酒。上品な甘みと爽やかな酸味が特徴的(栃木県の鳳凰美田でも良かったのでは?と思いましたが、どうなんでしょうね、すいません)。
・栃木旬野菜
素揚げしたレンコンやブロッコリー、カリフラワー、ベリーリーフ、トマト、カブ、あと他にも山菜が。野菜一つ一つがきちんと美味しいです。鶏ブイヨンや喜界島産白胡麻ペーストのソース、焦がしバターのソースも食べたことのない味。頭の中で大量の情報が処理できず、食べ終わっちゃいました。
・パン
パンは2種類。ゴマのブリオッシュ、全粒粉。無くなると、即座にスタッフの方がお代わりを持ってきてくれます。
・オマールエビロースト、みかん×オマールエビソース
彩りが鮮やかで、食べるのがもったいないくらい。そして、オマールエビと柑橘の組み合わせってすさまじく相性が良いですね。
・蝦夷アワビのパイ包み、帆立のムース
パイの外観の美しさもさることながら、断面もお見事です。次男の方の計らいでお代わりいただきました(一人客で大変申し訳ありませんでした)。
・鰆、ほたるいか
このシーズン、フレンチ(やイタリアン)でよく出てくる桜エビやほたるいか。個性的な味と食感ゆえ、ほとんどのお店は素材をダイレクトに使いますが、オトワさんは違います、原形をとどめておりません。この手の素材がお皿の中心ではないし、下手したら殺しかねないという表れなんでしょうか?鰆は脂が輝いており、あぶらあぶらしているかと思いきや、しっとりと上品なお味。
・仔羊、干瓢(かんぴょう)、蕗の薹
ジャガイモの上に美しいフォルムの干瓢。仔羊は脂の甘味と旨味が単体でも美味しいです、蕗の薹と合わせるとさらに味が引き締まります。
・Herbes
だいぶお酒を飲んでしまい、デザートの記憶が…。要は幸せってことです。
・茶菓子
撮り忘れました。
帰り際に、フィナンシェのお土産まで頂きました。これで3万とちょっと。ありえないコスパ。いやー、至福のひと時でした、しばらくここを超えるお店には出会えない気がします。ごちそうさまでした。
店舗情報
- 住所:栃木県宇都宮市西原町3554-7
- 最寄り駅:JR宇都宮駅西口よりタクシーで約10分
- 予約:TableCheckほか
- 営業時間:火・水・木17:30 - 19:00、金・土11:30 - 13:00+17:30 - 19:00、日11:30 - 13:00
- 定休日:月曜日(火曜日不定休)