一平飯店について
香港や日本国内で研鑽を積んだ安達一平シェフを中心に、温度や香りを重視した繊細な料理で食通を魅了する、麻布十番にある広東料理の名店。2022年3月のオープンから2年連続ミシュラン一つ星を受賞し、食べログでも中華料理百名店に選ばれております。このお店、夜の21時からは「夜香港(イエホンコン)」という店名になり、一平飯店とは趣が異なり、大皿料理の店に変わるというユニークなお店でもあります。今回、一平飯店の方にディナーでお邪魔してみました。
総評・レビュー
突っ込みどころが満載w
料理は1品1品で考えると美味しいです。が、コース全体で言うと?な点も。例えば、8品目の「和牛の唐辛子甘酢ソース」の後に「本日の野菜料理(インゲンの炒めもの)」という流れがよく分からず。和牛の味と五味の様々な味が混在したソースを食した後で、素材の味を活かしたインゲンを食しても、口の中は和牛とソースの味しか感じませんでした。後は、コース後半の辛い料理が続いた点。さすがに体が悲鳴をあげちゃいました。〆の「香港式タンタンメン」の完食はさすがに無理でした(辛さに耐性が強くなく、たいへん申し訳ありません)。
他にも気になる点がいくつか。
まず、調理の場所。目の前のカウンター越しで調理をするのかなと思ったら、実質、カウンターの先の扉で仕切った裏側での調理がメイン。ので、ほぼ無機質な壁を見つめながら食べるという、ユニークな体験をしました。
次にホールスタッフの配置。終始、数人が私の左斜め後ろに陣取り、ずっと見張られている感じ(ちなみに、私は背後恐怖症ではありません)。ここまで、視線を感じたことは無いのでめっちゃ照れます。少なくとも鼻をほじることはできませんでした。
美味しい料理とお酒に囲まれて、なんとも不思議な体験をさせて頂きました。ドイツの一時流行った心理実験映画をふと思い出しちゃいました。
シェフについて
シェフの安達一平氏は専門学校卒業後、富山のホテルで広東料理の修業。その後、香港にわたり、レストランや屋台など様々なところで修業し、帰国。帰国後は都内の中華料理店で研鑽を積み、2022年に当店をオープンしたという感じになります。
引用元:https://www.kiwamino.com/articles/interviews/17515
料理開始冒頭と帰り際に丁寧にご挨拶頂き、ありがとうございました。
お店の雰囲気・外観
麻布十番駅5a出口を出て徒歩10分ほど。麻布十番の商店街を少し抜けた先の住宅街の中にお店はあります。席はカウンター×7~8席、個室4席×3室。外観・内観ともに余計な装飾は一切ありません、シックそのものです。
お客さんの層は、OMAKASE系(OMKASE掲載してるから当然っちゃ当然)。ほぼ満席です。
カウンターは一斉スタートっぽく、全員揃うのを待ちます。約10~15分ほど他のお客さんを待ち、そこからのスタート。待ち時間の間に、趣味の投資でいくつか気になる決算IRを熟読できたので、有意義な時間でした。
ちなみに、ドレスコードは厳格では無さげで、お客さんのファッションもバラエティに富んでおりました。
スタッフはスーツをビシッと着こなした男女。丁寧な接客と熱い視線が特徴的です。
5段階評価
- 料理・味:★★★★
- サービス:★★
- 雰囲気・居心地:★★
- コスパ:★★
- お酒・ドリンク:★★★★
料金・価格
季節食材のおまかせコース一本のみで、15品で価格は27,500円。ちょっと比較対象となる中華料理店を知らなすぎるので、この価格が高いか低いかは分かりません。ただ、私の中のフレンチのコースだと1品あたり平均2,570円が相場。これと比べると、一平飯店さんは1品あたり1,833円なので、ソートー安いと言えるでしょう。
ドリンクに関しては、アルコールペアリングが10種類ほどで12,000円という設定です。こちらも食事同様、1杯当たりに換算すると1,200円なので、良心的な価格と言えるでしょう。今回、ドリンクに関しては、ペアリングにせず、シャンパン:1,800円×1、ハイボール:1,200円×2、レモンサワー:1,000円×1、赤ワイン:???×1。料理と合わせて38,000円とちょっと。
料理・コース
・アサリの出汁と愛知県産ミル貝のお粥
一平飯店さんのコースの1品目は必ずお粥で始まるそう。アサリの出汁が効いたお粥でなんとも優しい幕開けです。ミル貝は弾力のある食感。
・カブとクラゲの和えもの
カブとクラゲ両方を素麺くらいの粒度に細くして甘酢(柑橘?もややあり)で和えた1品。シャリシャリしたカブとコリコリしたカブの食感が楽しめます。
・長崎県産蔵穴子の塩卵炒め
衣はクランチー、中はふわふわ。塩卵炒めと言いつつ、味は穴子本来の上質な甘さが際立ちます。
・北海道産水ダコのXOソース
クリアな素材の色が美しい1品。緑:ピーマン、赤:パプリカ、白:水ダコ、紫:茄子(水ダコの下)。XOソースは、乱暴な辛さは一切無く、後からジワジワ効く感じ。
・(お坊さんも垣根を飛び越える)山海珍味の極上スープ蒸し餃子
ユニークな料理名。様々な山海の珍味が餃子の具やスープに表れた1品。味は複雑過ぎて言葉での表現が難しい。キノコの出汁、餃子の上にはイタチザメのフカヒレ。赤酢で味変も可能(使わず)。
・海老チョンファン
オープンから存在するスペシャリテ的な1品だそう。中心からプリプリした海老、次いでカリッとした湯葉、最後にプルプルなライスクレープ。ソースは醤油ベース。分かりやすい味で好み。本日のBEST。
・クエと黄ニラのサンバルソース炒め
唐辛子、玉ねぎ、レモングラス、蒸しエビ、豆板醤等で構成されたアジアンテイストな変化球的な1品。シェフの出自をよく表しているとも言えそうです。
・伊勢海老の潮州オリーブ蒸し
伊勢海老の半身を使った贅沢な1品。少々食べづらさはありつつも、伊勢海老の甘みと旨味、(中腸線の)コクを、オリーブでコントロールした匠な料理。
・和牛の唐辛子甘酢ソース
辛いものが苦手な私にとっては試練の1品。丸々と唐辛子が3つ。見た目も相まってか、少しばかり辛すぎました。もっとカプサイシン耐性付けなきゃ。
・本日の野菜炒め
インゲンが主役。味は冒頭にも書きましたが、よく分かりませんでした。
・伊達鶏のクリスピー揚げ
ガーリック、ココナッツ、唐辛子のパウダー。皮はパリッパリで、肉はジューシー。
・香港 蓮の葉包み蒸しご飯
優しいお味でホッとします。ペロッと食べちゃいました。
・香港式タンタン麺
辛いもの連打がたたり、ノックダウン。
・杏仁豆腐
好みの問題ですが、杏仁豆腐は固めが好きです。当店のそれは真逆。
・胡桃のクッキー
麻布周辺界隈のお店はいつだって新鮮な驚きを提供してくれます。ごちそうさまでした。
店舗情報
- 住所:東京都港区元麻布3-12-41
- 最寄り駅:麻布十番駅より徒歩5分
- 予約:食べログほか
- 営業時間:17:30 - 23:00
- 定休日:日曜日