まのぴらーのひとり飯グルメログ

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【アマラントス(溜池山王)】見た目・香り・味・ボリュームが別次元でした

アマラントスについて

2021年のオープンからミシュラン2年連続1つ星獲得。輝かしい経歴を持つ宮崎シェフと宮島シェフのダブルシェフ体制のカウンターフレンチになります。

店名の由来にもあるように「色褪せなることなく、後世に語り継がれるものにしていきたい」という崇高なビジョンを持ち、旬の素材とパティシエという出自を生かしたユニークな料理が特徴なのだそう。

今回、ディナーでお伺いしました。

総評・レビュー

見た目・香り・味・ボリュームが別次元でした

ここ最近のフレンチって火入れやらジャンルレスやらに目が行きがちですが、やっぱりソースと見た目だよなと。んで、後者に関して言うと、2次元じゃなく3次元(高さ)も考慮し、かつしっかり個性を表現しているなぁと。

とりわけ2品目の「毛蟹、コブミカン、ガレット」におけるガレットの存在意義は秀逸。層の意識付け、中身を覆い隠すことで崩す際の期待感醸成、食感での多様性創出など。

そして、ローズマリーやコブミカン、カルダモン、へべすなどを要所要所に散りばめることで、素材特有の香りを通して鮮烈に記憶に訴えかけてきます(記憶で重要なのは嗅覚)、これはかなり確信犯的。

味は、ソースの個性を引き出してくれる料理をより味わってみたいなとは思いながらも、素材本来の味とそれらの掛け合わせで、複雑ながらも「(複座過ぎて理解を促進させるために)もう一回食べてみたい」と思わせてくれます。

ボリュームも相当なもので、個人的には完食するのが精いっぱいという感じ。

ある意味、ここ最近で最もフレンチらしいフレンチを堪能させていただきました、多謝。

シェフについて

オーナーシェフである宮崎慎太郎氏は、洋菓子店の修行後、西麻布で天使のようなほほえみで有名な菊池シェフのル・ブルギニオン、さらには麹町の「オーグードゥジュール(閉店)」でも修行。そのあと、渡仏し、星付きレストランやビストロでも修行。帰国後は、オーグードジュール ヌーヴェルエールのシェフに就任し、ミシュラン1つ星を7連続獲得。そして、アジュールフォーティーファイヴのシェフに就任してからも1つ星ミシュラン6年連続獲得。そして、当店をオープンし、現在にミシュラン1つ星を2年連続で獲得。星獲得の請負人みたいな感じですね、すごい。

宮島シェフは、都内レストランでパティシエとして修業する傍らフランス料理を学び、アジュール フォーティーファイブのスーシェフに就任、その後、アマラントスのシェフ就任という感じです。

引用元:https://www.amarantos2021.com/staff/

お店の雰囲気・外観

場所は私が好きなピエール・ガニェール(ANAインターコンチネンタルホテル東京)の近く。溜池山王駅の12番出口を出て5分くらいのところにあります。

店内は、厨房を囲むようなカウンター:8席と個室:4席の構成。床は絨毯ゆえ、なんかアットホーム感あります。BGMは、ウェス・モンゴメリーを軸とした60年代のジャズ中心。色褪せることの無いジャズの名盤でかなり好みです。

お客さんは私一人以外に、男女のペア×2組。そのうち、1組は常連っぽく、シェフとにこやかに話しております。

スタッフは宮崎シェフ、宮島シェフのほか、2名のスタッフ。お店のHPを見ると、みなアジュール フォーティーファイブ出身なので、気の知れた仲間でしょう。ほど良い距離感ながら丁寧な接客が印象的です。シェフが交互にサーブしプレゼンするのもユニーク。

なお、ドレスコードに関してはスマートカジュアル推奨、かつ香りが強いものNGとのことなので、ご注意ください。

5段階評価

  • 料理・味:★★★★★
  • サービス:★★★★★
  • 雰囲気・居心地:★★★★★
  • コスパ:★★★★
  • お酒・ドリンク:★★★★

料金・価格

メニューはランチもディナーもおまかせコース1本のみ。ランチは14,500円、ディナーは19,800円となっております。星獲得のフレンチの中だとやや安めな部類でしょうか。

ドリンクは、グラス1杯あたり1,200円~となっており、良心的。ペアリングはシャンパン込みの計6杯で16,000~17,000円前後(シャンパン:120CC、それ以外のグラス80CC)と適正な相場観。トータルで4万行かないくらいに着地しました。

料理・コース

・カナッペ:小鰭、フォアグラ、キャビア

まずは3種のカナッペ。左は油をそぎ落としたというテリーヌとキャビア。右がフォアグラ。中央がセミドライトマトを包んだ小鰭。いきなりフォアグラは重いかもと思いましたが、甘さは控えめで安心。小鰭の酸味とセミドライトマトの酸味の相乗効果でシャンパンが進みます。

・アミューズブーシュ:とうもろこし

宮崎シェフ出身の千葉県産のとうもろこし。シャーベット状にしたとうもろこしの上に焼きとうもろこし。もはやスィーツの領域で、とうもろこしの甘さを多角的に堪能できます。

・甘くないシフォン

食べログの口コミやGoogleレビュー等で大絶賛されている当店のパン。1発目は、ミモレットチーズとローズマリーが散りばめられた甘くないシフォン。なるほど、これは美味しすぎます。ミモレットチーズのまろやかさと高貴なローズマリーの香りゆえ、気品が溢れてますね。そして、雪のような口溶け。パン屋やってたら、間違いなくパン百名店に選出されるでしょう。

・クリュスタセ:毛蟹、コブミカン、ガレット

ガレットの下には毛蟹の身と味噌がたっぷりと。さらには枝豆のピューレもジョイン。甲殻類と柑橘類の相性の良さはフレンチでは定番ですが、コブミカンが最強かもと思い知らされました。柑橘特有のつんのめった感と爽やかさのバランスを保ったコブミカンの香りが、毛蟹の品格をより高めてくれます。また、ガレットを崩しながら食べることで、毛蟹の弾力間ある食感とサクサク感が交わり、多角的な食感に。本日のBEST。

・セゾン:野菜の一皿

しいたけ、パプリカ、アスパラ、ピーマン、蓮根、カブ、玉ねぎ、人参、ごぼう、スナップエンドウ、舞茸、モロヘイヤなど、ありとあらゆる野菜が一皿に集合。そして、それぞれの野菜はすべて異なる調理法という、かなり手の込んだ一品で、ロキシー・ミュージックを彷彿させます。中央のジュレはかなりさっぱり目なお味。ある意味、ソムリエ泣かせの一品かもしれませんが、その複雑性ある料理のエッジをより際立たせるべく、「ムーラン・ナ・ヴァン ラ・ロシェル」というチョイス。粋です。

・甘くないマドレーヌ

パン第2弾は、焦がしバターがたっぷり染み込んだマドレーヌ。カルダモンの爽やかさやスパイシー感ある香りもヤバすぎます。このお店のパンは味もさることながら嗅覚に異常なまでに訴えてきます。

・ベニエ:十勝牛ほほ肉 南瓜 レッドソレル

約30時間近く煮込んだというほほ肉。ほろほろです。下には、南瓜×キャラメルのソース。まったりとした甘みは好みですが、ここで少々胸焼けも。パンが甘くない理由がようやく理解できました。

・ポワレ:マルコバン

前品とは対照的で、あっさりした魚料理。とはいえ、マルコバンの淡白ながらも脂の旨味の存在感はしっかりと感じ取ることができます。

・ロティール:花悠仔豚

仔豚を食べ尽くすというコンセプトの下、様々な部位を一皿で表現。しっとりした脂の甘みと旨味が堪能できるもも肉、皮のカリッとした食感と香ばしさが堪能できるバラ肉、ダイレクトに脂を堪能できるコンフィ。たまりません。ここらへんでだいぶお腹いっぱい。ソースはベリー系だとより好みでした。

・ブルーベリーパン

最後はブルーベリー特有の香り・味・色がクリアに出ているパン。「パンはお代わりできないから少し物足りない」といった口コミがありましたが、投降した方は、相当の大食漢でしょう。まったくもってお代わり不要に思えます。
・ソルベ:高知県産ミルク、喜界島の塩

デザート1つ目はミルクのソルベ。喜界島の塩と香川県のオリーブオイルとともに。見た目はシンプルながら、かなり多層な味となっており、匠です。

・メレンゲ:メレンゲ、へべす、トンカ豆

2つ目は陶器のような美しさのメレンゲ。外装を崩すとへべすの爽やかな香りが広がり、これだけで優雅な気分に浸れます。味も言わずもがな美味です。

・ミニャルディーズ:マンゴー

これだけ全品の個性が明確なフレンチは初めてかも。そして、2人のシェフの個性に目が行きがちですが、それらをいい意味でまとめ上げているソムリエの手腕は相当すごいんじゃないか説。先週の千葉たかおかに続き、大当たり2連続。ごちそうさまでした。

店舗情報

  • 住所:東京都港区赤坂2-18-5 FUN ART AKASAKA 2F
  • 最寄り駅:銀座線・南北線溜池山王駅12番出口より徒歩3分
  • 予約:TableCheckほか
  • 営業時間:月・火・水・木・金:18:00 - 00:00、土・日・祝日:12:00 - 13:00+18:30 - 00:00
  • 定休日:不定休