Tinc gana(ティン・ガナ)について
モダン・スパニッシュの先駆けの先駆けで有名なサン・パウでス―シェフを務めたジェローム・キルボフシェフが監修するガストロバル。バルセロナの伝統的な郷土料理をモダナイズする料理がウリだそう。店名はカタルーニャ語で「お腹が空いた」を意味します。
たまたま、市ヶ谷周辺で仕事があったのと、当店はドレスコード:無しのため、ここにしました。(…この連日続く猛暑だと、ドレスコード:有りのレストランはちとつらいですね、そろそろ、真剣にドレスコードの必要性やUpdateを考えてほしいもんです)
総評・レビュー
ジェロームワールドを堪能
良心的な価格、一人でも緊張せず快適な空間、丁寧な接客と、いいとこ尽くしなお店。なにより、食事が美味しい。とりわけ、連日続く猛暑日にサルモレホはめちゃささりました。
夏野菜の爽やかさ、甘エビの甘味と食感、上品な味わいのスープ。そして、美しい色合い。お家で真似して作りたくなるほど。
もちろん、スペシャリテのバスクチーズケーキも言わずもがな。そっこー宅配注文しちゃいました。
2つあるコースのうち、安いほうの12,000円のコースにしたのが悔しいと思うほど。メニューが変わるタイミングで、また伺おうと強く決意しました。
シェフについて
シェフを務めるのは、ジェローム・キルボフ氏(実はパリ生まれのフランス人)。
2004年にモダン・スパニッシュの先駆け、レストラン「Sant Pau(サンパウ)」でアシスタントシェフを務め、その後、2006年から東京「Sant Pau(サンパウ)」のエグゼクティブシェフを兼任し、ミシュランの2つ星を獲得(4年連続)。
2020年には、広尾にスパニッシュバルの「Gracia(グラシア)」をオープンし、翌年にビブグルマンを獲得しております。他にも、鎌倉にミ・カサ(2022年)、最近だと、麻布台ヒルズにバル「CARMEN(カルメン)」をオープンさせたりと、手広く事業を展開しております。
お店の雰囲気・外観
JR市ヶ谷駅の3番出口を出て、日テレ通りを数分歩いて、交差点の角にあるGEMS市ヶ谷の1階にお店はあります。ちなみに、当ビルの地下1Fは、ジェロームシェフがプロデュースするバー「Abajo(アバッホ)」も。
店内は、スタイリッシュなインテリアで統一されております。席は、調理の風景が良く見えるオープンキッチンをぐるりと囲んだカウンター席と、奥のテーブル席の構成。席数は30席ほど。カウンターの椅子の座り心地が快適。
お客さんはビジネス利用や女性グループ、女性のおひとり様など、女性率高め。年齢層幅広い印象。賑やかながら、一人でもそれなりに居心地よい感じです。
スタッフは、調理場は多国籍、ホールは日本の方。調理場のスタッフはサーブ時はつたない日本語ながらも丁寧な接客。ホールの方も同様。ちなみに、ジェロームシェフは不在のもよう。
5段階評価
- 料理・味:★★★★
- サービス:★★★★
- 雰囲気・居心地:★★★★★
- コスパ:★★★★★
- お酒・ドリンク:★★★★
料金・価格
コースは以下の2種類のみ。
- 季節ディナーコース(8品程度):12,000円
- ジェロームシェフのシグニチャーおまかせコース(10品程度):19,000円
※ コース以外にもアラカルトもあります。
あんまりスペイン料理を食べないので価格帯の相場は分からずですが、都内のイタリアンやフレンチの相場と比較するとフレンドリーな価格です。
今回は、病み上がりのため、品数は少なめにしようと思い、季節ディナーコース:12,000円にしました。(おまかせコースの「車エビの出汁をたっぷりかけた、パエリアおにぎり」がめった気になりましたが、また別の機会に伺おうと思います)。
ドリンクは、ワインペアリングが以下の感じです。( )はノンアルの料金。
- 3杯:5,000円(4,000円)
- 5杯:8,500円(5,200円)
- 8杯:14,000円(6,500円)
グラス1杯あたり1,600~1,700円なので、こちらは高くもなく安くもなくという感じでしょうか。今回、5杯のワインペアリングにしまして、食事と合わせてトータル:2万とちょっと。ガス有りミネラルウォーターとチーズも追加注文していてこの値段に落ち着くのは嬉しい限り。
料理・コース
・アミューズ3種
フォアグラ✕生ハムのクロケッタ(日本でいうコロッケ)、タコ✕じゃがいも、奈良漬け✕りんごのタルトのフィンガーフード。クロケッタは熱々で、ほど良い塩気がお酒のスピードを早めてくれます。タコは見た目とは裏腹にかなり柔らかい。もう少し硬質な食感が好みではあります。奈良漬けとリンゴはもはや一般的な組み合わせとして認知されつつあり、目新しさは無いものの、甘味と塩味の独特のバランスはやっぱり美味しい。
・パンコントマテと生ハム ハモン イベリコ ベジョータ3年熟成
ローストしたパンの上にトマトを擦り込み、その上にはこんもりしたハム。こちらもフィンガーフード。ハムがどっさりしすぎて、いい意味で食べづらいw。イベリコ豚の最上級ランクなんて生まれて初めて食べる気がします。思ったよりも、上品な塩気ですね。
・サルモレホ
今週のお題「冷たい食べ物」でうってつけの1品と言えるでしょう。サルモレホはスペイン・アンダルシア地方のトマトを軸とした冷製スープ。そこにジェローム流で、車海老、スイカ、きゅうり、リンゴを織り交ぜます。彩りが鮮やかで食すのがもったいないくらい。エビはプリップリの食感で中毒性高く、甘味が特徴的。スープに、夏野菜たちの個性が有機的に絡み、スプーンで食す面ごとに多様な味を展開してくれます。本日のBEST。
・鰹 チェリー ピスタチオ
瞬間スモークした宮城県産の鰹。写真からは分かりづらいかもしれませんが、相当なボリュームです。鰹はちょっと筋張ったところが見受けられますが、まぁ愛嬌程度。ブラックチェリーとピスタチオのパンチ力がちと強すぎて、鰹本来の旨味をもっと堪能したかったかも。
・クエ プールブランソース
夏のクエは初めてかも。あの弾力的な食感は薄めながらも、上質な旨味は健在。にしても、鰹に引き続き、ポーションはケチらないところが好きです、このお店。クエの下には海藻がびっしりと。付け合わせはズッキーニ。白身魚とプールブランソースは鉄板ネタで、言わずもがな美味しい。このバターバター感がたまりません。
・イベリコ豚のプルーマ リンゴと万願寺唐辛子添え
肩と腕の付け根のところだそう。ものすごく柔らかく、歯が必要ないくらい。そして、ジューシーで濃ゆい味。めっちゃ好み。中心にあるリンゴのソテーを間に挟むことで、そのコントラストによって、よりジューシーさが際立ちます。あー、幸せ。
・チーズ
ホールの方のおすすめを頂きました。何のチーズなのかは聞き漏らしました。
・ジェロームチーズケーキ
シェフの名を冠した、世界一美味しいと評判のバスクチーズケーキ。スモーキーな香り、クリーミーな食感、塩気と甘さのバランスなど、確かに美味しい。世界一かは分からないですが。
・お茶菓子+コーヒー
1品1品ユニークで、食べる度に発見があるのはうれしいですね。こりゃリピート確実。しかも、お腹いっぱいだし。ごちそうさまでした。
店舗情報
- 住所:東京都千代田区六番町4-3 GEMS市ヶ谷 1F
- 最寄り駅:JR市ケ谷駅3番出口より徒歩3分
- 予約:食べログほか
- 営業時間:17:00 - 00:00(L.O. 22:00)
- 定休日:火曜日